2025/08/07
この度、「三郎丸蒸留所」をはじめとした弊社3つの建築物が、令和7年8月6日付けをもって正式に国の登録有形文財に登録されました。
当蔵は富山県砺波市に位置し、1920年(大正9年)に酒樽貯蔵庫として建設された歴史的な建築物です。JR城端線油田駅の目の前にあるこの建物は、地域のランドマークとしてその風格を誇り、現在も多くの方々に親しまれています。
【建築様式と外観】
大正蔵は巨大な土蔵造りで、外観は白漆喰の壁と茶色の腰板が美しいコントラストを描きます。南側正面には特徴的な左右対称の窓が並び、赤茶色の瓦屋根がこの建物の趣を一層引き立てています。
【歴史的背景】
若鶴酒造は1862年に始まり、大正7年(1918年)に株式会社化されました。その後、大正11年にこの酒蔵が建てられ、長い間、酒樽貯蔵庫として使用されてきました。平成23年から翌年にかけて保存活用のための改修工事が行われ、現代的な施設として生まれ変わりました。
【室内空間】
元々の酒蔵の構造を生かしながら、改修により開放感のある吹き抜け空間が設けられました。中央には直径36cmの象徴的な柱が立ち並び、屋根裏の構造が見える設計になっています。この空間では若鶴酒造の歴史を紹介する資料やかつて使用されていた道具が展示されています。
【展示品とモニュメント】
古い酒樽や「若鶴」のロゴ入り鉄扉などの歴史的な物品が展示され、建築物の改修前後の写真や図面もご覧いただけます。さらに、蔵内の一角にはモニュメントとして保存されたレンガ煙突の頂部が設置されています。
この施設を通じて、酒造りの伝統とその背景にある歴史を感じていただければ幸いです。ぜひ、若鶴酒造の世界をお楽しみください。
若鶴酒造 昭和蔵 松庫は、1959年(昭和34年)に清水建設株式会社の設計・施工によって建設された、近代的な清酒醸造蔵です。戦後の酒造業の発展を象徴する施設として、現在も現役の酒蔵として稼働しています。2025年3月、その歴史的な価値が認められ、国登録有形文化財への登録が認められました。
【歴史と役割】
昭和蔵 松庫は、戦後の酒造技術の進化を反映し、当時の最先端技術を導入した「近代的モデル清酒醸造蔵」として建設されました。
【設計の特徴】
鉄筋コンクリート造2階建:間口32.7m、奥行21.8mのラーメン構造を採用し、広々とした空間を確保。
高い機能性:1階は仕込庫・貯蔵庫、2階は糀室・酒母室・蒸米放冷室とし、清酒の製造プロセスを効率的に配置。
最新設備の導入:建設当初から冷房設備を完備し、最適な醸造環境を実現。
【現在の活用】
昭和蔵 松庫は、現在も酒造の中心施設として稼働しており、伝統的な製法と最新技術を融合させた酒造りを行っています。建設当初の設計がほぼそのまま残っており、戦後の酒造業の歴史を今に伝える貴重な建築物となっています。
三郎丸蒸留所は、富山県砺波市の美しい砺波平野に位置する北陸唯一の見学可能なウイスキー蒸留所です。この施設では、ウイスキーの製造工程をご覧いただけるだけでなく、若鶴酒造の長い歴史や伝統をご体感いただけます。2025年3月、その歴史的な価値が認められ、国登録有形文化財への登録が認められました。
【歴史を刻む建物】
三郎丸蒸留所はもともと富山市の不二越工場として建てられたもので、戦後の昭和29年(1954年)頃に現在の場所へ移築されました。この建物は、昭和20年(1945年)の富山大空襲を逃れた数少ない遺構の一つで、歴史的価値も高く、地元の文化を伝える貴重な存在となっています。
蒸留所の構造は、桁行36.4m、梁間21.8mの木造2階建てで、屋根は切妻造桟瓦葺。内部にはキングポストトラスを採用した小屋組が特徴です。1階はウイスキー蒸留と作業場、2階は酒樽製造を行う樽職人の作業場として利用されていました。
【見どころ】
現在の三郎丸蒸留所では、伝統的なウイスキー蒸留工程を見学できるとともに、若鶴酒造の歴史にまつわる貴重な資料や展示をご覧いただけます。また、改修を経て保存された建物の独特な構造美を楽しむこともできます。
【北陸の新たな名所】
三郎丸蒸留所は、ウイスキー蒸留の中心であると同時に、年間3万人もの来訪者を迎える観光名所となっています。施設内では、ウイスキー愛好家だけでなく、歴史や建築に興味のある方々にも楽しんでいただける工夫が施されています。